― 呼気をデータとして解析し、肝疾患の可能性を推定する非侵襲評価技術の社会実装へ ―
VOCs DeepTech Lab 株式会社(本社:東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学信濃町キャンパス2 号館9 階、以下「VDL」)は、慶應義塾大学、国立大学法人京都大学および学校法人東海大学が保有する、呼気ガス中の揮発性代謝産物の質量分析データを用いた肝疾患判定技術等に関する関連知的財産について、独占的通常実施権を取得しました。
本技術の特徴は、呼気を採取・分析する試料としてだけでなく、AI による判定に活用するデータとして扱う点にあります。呼気に含まれる複数の揮発性代謝産物から得られる質量分析データを AI に学習させ、肝疾患判定のための推定モデルを構築します。このモデルに新たな呼気データを入力することで、対象者が肝疾患である確率を出力する判定方法・装置・プログラム等に関する技術です。
特定の単一成分だけを指標とするのではなく、複数の成分から得られるデータを解析対象とすることで、呼気データと AI を組み合わせた非侵襲評価技術の実用化を目指します。
本実施権は、今後移行出願が行われる全地域を対象とし、対象特許の存続期間にわたる独占的通常実施権で、VDL による第三者への再実施許諾(サブライセンス)を可能とするものです。また、契約上、対象となる権利について大学側から第三者へのライセンスは行われない条件となっています。
1.背景
呼気には、体内の代謝や酸化反応などに由来する多様な揮発性有機化合物(VOCs)が含まれています。呼気を用いた評価は、採血などと比較して身体への負担が小さく、反復的な測定にも適する可能性があることから、新たな非侵襲評価技術として研究が進められています。
VDL は、呼気VOCs の捕集・質量分析・データ解析までを一連の技術として構築し、大学で生み出された研究成果と知的財産について、科学的検証を重ねながら社会実装につなげることを目指しています。
2.対象となる知的財産
今回 VDL が独占的通常実施権を取得した関連知的財産には、「肝疾患を判定するための判定方法、判定装置、プログラム、及び肝疾患の治療薬のスクリーニング方法」に関する技術が含まれます。
| 発明の名称 | 肝疾患を判定するための判定方法、判定装置、プログラ ム、及び肝疾患の治療薬のスクリーニング方法 |
| 出願番号 | PCT/JP2026/022795 |
| 出願日(優先日) | 2026 年 6 月 19 日(2025 年 6 月 20 日) |
| 公開番号 | 特開 2025-087542 号 |
| 出願人 | 慶應義塾、学校法人東海大学、国立大学法人京都大学 |
| 実施権者 | VOCs DeepTech Lab 株式会社 |
| 権利の種類 | 独占的通常実施権 |
| 対象地域 | 本国際出願が移行する全地域 |
| 期間 | 対象特許の存続期間まで |
| 再実施許諾 | 第三者への再実施許諾(サブライセンス)可能 |
※出願番号その他の未公開情報については、大学側との確認を踏まえ、公表範囲を最終決定します。
3.呼気データと AI 判定プログラムの仕組み
本技術では、まず対象者の呼気を採取し、呼気に含まれる揮発性代謝産物の質量分析データを取得します。そのデータを推定モデルに入力することで、対象者が肝疾患である確率を出力・表示します。
出願書類には、GC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)等により得られる多数のピークを含む質量分析データを人工知能(AI)に学習させ、肝疾患判定のための推定モデルを構築する方法が記載されています。
特定の単一成分だけを見るのではなく、呼気に含まれる複数の揮発性代謝産物から得られる質量分析データを解析対象とすることで、呼気をデータとして扱う判定基盤へ展開できる点が、本技術の特徴の一つです。
4.治療薬候補スクリーニングへの展開
本技術には、肝疾患を有する非ヒト動物から採取した呼気ガスについて、試験物質の投与前後における揮発性代謝産物の変化を指標として、肝疾患の治療薬候補をスクリーニングする方法も含まれています。
このため本技術は、将来的な肝疾患判定技術の高度化に加え、創薬研究における候補物質評価への応用可能性も有しています。なお、現時点で特定の治療薬の有効性を示すものではありません。
5.共同研究による臨床検証と知的財産による社会実装
VDL は慶應義塾大学との共同研究において、既存研究で得られた肝疾患関連VOC の知見を、より多くの臨床データで検証を進めています。これにより、呼気VOCs を用いて新たな非侵襲評価法の科学的基盤を構築することを目指します。
こうした大学との共同研究による科学的・臨床的な検証と、今回取得した実施権に基づく知的財産の社会実装は、それぞれ独立した取り組みです。VDL は両者を並行して進めることで、大学研究成果を研究段階にとどめず、実装可能な技術基盤へ発展させていきます。
6.独占的通常実施権取得の意義
今回の実施権取得により、VDL は対象技術について、今後移行出願を行なう全地域で、対象特許の存続期間にわたり独占的に事業化を進める基盤を確保しました。また、サブライセンス権を有することから、将来的には医療・ヘルスケア企業、分析・センシング関連企業、製薬企業等との連携も視野に、技術の社会実装を進めることが可能となります。
7.今後の展望
VDL は、呼気VOCs の採取、GCMS による質量分析、データ解析、AI による推定技術を統合し、呼気から得られるデータを継続的に取得・解析できる基盤の構築を進めます。肝疾患判定技術の実用化に向けた取り組みとともに、継続的な呼気データの蓄積と解析を通じたデータ基盤の構築を目指します。
今回取得した実施権の対象は肝疾患判定等に関する技術ですが、VDL としては、今後蓄積される呼気VOCs データと解析技術を組み合わせることで、呼気を活用した解析・評価技術そのものを高度化していく方針です。
※ 共同研究等で取得される臨床データの具体的な利用範囲は、各研究計画、倫理審査、同意・説明文書、契約その他の適用ルールに従います。
8.VOCs DeepTech Lab 株式会社 コメント
「呼気は、採取して分析するだけの試料ではなく、継続的に蓄積・解析することで新たな価値を生み出すデータになり得ると考えています。今回取得した独占的通常実施権は、呼気 VOCs の質量分析データとAIを組み合わせた肝疾患判定技術を、研究成果から社会実装へ進めるための重要な基盤です。大学との研究を通じた科学的検証を重ねながら、呼気を活用した非侵襲評価技術の実用化と、その先のデータ基盤の構築を進めてまいります。」
9.用語
VOCs(Volatile Organic Compounds/揮発性有機化合物):常温で揮発しやすい有機化合物の総称。呼気中にも多様な VOCs が含まれます。
GC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析):混合物を分離し、それぞれの成分を質量分析する分析手法。
AI(人工知能):本リリースでは、呼気由来の質量分析データから推定モデルを構築・利用する技術を指します。
10.会社概要
会社名:VOCs DeepTech Lab 株式会社
所在地:〒160-0016 東京都新宿区信濃町 35 慶應義塾大学 信濃町キャンパス2 号館 9 階
事業内容:呼気 VOCs に関する研究開発、解析技術および社会実装
11.本件に関するお問い合わせ
VOCs DeepTech Lab 株式会社
お問合せ窓口:経営企画室
Email:info@vocs-deeptech.com
